自室で、ドアに背を向けて寝ていると金縛りにあった。
金縛りはたまになるが、この日は急に空気が変わって
「やばい、何か来る。」
と思った。
その瞬間足を引っ張られてズルズルと姿勢を変えられる。
実際に引っ張られているというよりは「中身を引き抜かれそうになっている」感じ。
すると、バフッと上に誰かが覆いかぶさってきてぐぐぐぐぐぐと体重をかけてくる。
苦しいと思ったらぱっと上に乗っていたものが立ち上がる。
また倒れてきて首元に体重をかけてくる。
意識ははっきりしていて、何度も気合で立とうとするも全く体は動かない。
それが何度も何度も繰り返される。
肩までかけている羽毛布団が、ズゥーーーーとつぶれていく音。
かすかに漏れてくる空気が耳に当たる感覚まで感じる。
耳のすぐそばに誰かの顔が迫っている気配がした時、ついに上に乗ってるものがしゃべりだした。
「せっかく〇×▲〇×▲〇×▲秘密にして〇×▲〇×▲〇×▲」
無声音の早口な女の声だった。
そこでぱっと動けるようになって、上に乗っているものと異様な気配は消えた。
かろうじて聞き取れた「せっかく」「秘密にして」以外の言葉と、上に乗っていたものが何だったのか。
何もわからない。