オチのない怪談ブログ

自分が体験した、あるいは誰かから聞いたオチのない怪談を蒐集するブログ

2023-01-01から1年間の記事一覧

電光掲示板

車を運転していると、視界の端にマツモトキヨシの派手な電光掲示板が映る。 「マ」の字が大きくなったり、回転したりとせわしない。 ちょうどマツモトキヨシの前で赤信号になり、電光掲示板を見やる。 そこには 店名を書いた、ただの看板があるだけだった。

自殺の現場

小学校の頃、担任に聞かされた話。 何故か人の死に目によく遭うという、K先生は観光旅行の折にとんでもないものを目にする。 飛び降り自殺を間近に見てしまったのだ。 崖の上から落ちてくるそれは、人形のように絶壁を転がり落ちてきた。 首が信じられないよ…

先客②

温泉旅館に泊まった時のこと。 大浴場に向かい、更衣室に入るとガランとしている。 ロッカーの鍵が閉まっているのは一つだけ。 先客は一人だけのようだ。 浴室に入ると曇りガラスの向こうに露天風呂につかっている背中が見える。 他に誰もいないのに露天風呂…

先客①

「早くお風呂に入りなさい」 一階のリビングから母の声が聞こえてきた。 三人兄弟の末っ子だった彼は、二人の兄に遅れて階段を降りる。 子供の頃、三人で一緒にお風呂に入るのが日課だったのだ。 脱衣所のドアを開けると、曇りガラスの向こうに人影が見える…

魑魅魍魎

子供の頃、祖父の家に泊まりにいった時のこと。 その夜は一人で祖父のベッドを借りて寝ることになった。 深夜ふと目が覚めて、「今何時くらいかな」と枕元の時計を見ると。 時計から蛇やカエル、ムカデ、蜘蛛他様々な動物や蟲が、ブワッと大量に飛び出して来…

銀色の球体

・通勤中の車内にて とてもよく晴れた朝、車でいつもの道を職場に向かっていると空に銀色の球体が静止している。 どうみても飛行機ではない。 一点から微動だにせずに浮かんでいる。 信号待ちの時にそうだ写真を、とスマホを取り出そうとして再び見ると、跡…

通り過ぎる

夜寝る前に二階の吹き抜けから電気の消えた一階を見下ろしながら、子供のトイレを待っている。 子供がトイレから出てきて、ふざけて 一階に向かって「はーなこさーん遊びましょー!」と言った。 その瞬間壁の方から黒い影がスッと出てきて、風呂場の方へ抜け…

「昨日ね、幽霊を見たの」

とあるカフェにて。 「昨日ね、幽霊を見たの。 頭は毛が生えてなくて、長いコートを着ていてね。 半透明で向こうの景色が見えていたんだよ。 気持ち悪かったのは、眼だね。 握りこぶしくらいの大きな眼が顔の半分くらい占めててさぁ。 それが近づいてくるか…

短怪談⑤

・ベタな幽霊 雨の日の深夜車を走らせていた。 急な上り坂になるところで車が減速すると、 歩道を白いワンピースを着てランドセルを背負っている少女が傘もささずに歩いているのが見える。 こんな時間に?と振り返ると、誰もいない。 ずいぶんベタな幽霊を見…

古民家奇譚

今はもう取り壊されている築100年以上あった、古民家で起きた小噺集 ・夜寝ていると、父親の声で玄関の方から名前を呼ぶ声がする。 鍵を忘れたのか、と思いドアの前まで行くも人の気配はない。 父親に「今帰ってきてた?」と電話すると、「まだ仕事中だ」と…

首が落ちる。

娘が病に伏して、入院した。 夫は数年前に他界していたため、マンションに一人住まいだった。 ある朝、棚の上に飾ってある博多人形を見ると、 首が落ちていた。 随分前に親戚から娘宛にもらったものであり、それから何年も飾っていた人形だった。 無造作に首…

久々に田舎の実家に帰った。 夜中、コンビニにでも行こうと外に出ると頼りない街灯がポツポツあるだけでほとんど暗闇に近い。 田舎の夜はこんなに暗かったものかと感心しながら、道を急ぐ。 帰ってくると、隣の一軒家の窓から老婆が外を見ていた。 部屋は真…

ずっと覚えていてね。

実家の猫が、亡くなった。 20年近く生きたので大往生であろう。 しばし、悲しみに暮れる日々を過ごした母がふとスマホを見ると、撮った覚えのないありし日の愛猫の写真が入っている。 いや、正確には確かに撮った写真なのかもしれないが、が15年以上前の「ま…

短怪談④

・おたまじゃくし 朝起きて、顔を洗おうと両手に水を溜める。 顔を近づけると、その中におたまじゃくしが一匹ビュルビュルと身を捩って泳いでいる。 慌てて水を捨てたが、当然何もいない。 ・呼吸音 夜寝ようとすると、 「スーーー。ハーーーー。スーーー。…

幽体離脱あるいは何かの擬態

今起きたこと。 明け方。 別室で寝ている妻の血相を変えたような声で、名前を呼ばれて起こされた。 何かあったのか、と飛び起きるもそれから何も言われない。 恐る恐るドアを開けてみると、誰もいない。 その時、ちょうど妻の部屋から目覚ましのアラームが流…

給食室のドアを開けて、廊下に出ると大きな猫が座っている。 室内に猫がいることなどあり得ないので、うわっと驚いて後ろに後ずさる。 一緒に出てきた同僚に「どうしたの?」と聞かれたので、 猫が……と言って指をさすと、もう猫はどこにもいなかった。 その…

ニンギョウ

夕暮れの通学路を歩いている。 日は暮れかけており、住居から淡い光が漏れていた。 その住居の一つ、窓辺に日本人形が「道路の方を向いて」飾ってある。 これでは飾っている家からは背中しか見えない。 そんな飾り方をするだろうか。 さらに異様なのはその人…

嗤う声

台風が九州を通過した関係で、雨は降らなかったが風が強かった日。 夜中ウッドデッキで子供と風を浴びながら歯を磨いていると、 庭のフェンスの少し向こうの暗闇から 「ウフ…ウフフフ…」 と神経に触るような甲高い声で嗤う女の声が聞こえて、慌てて家の中に入った。…

短怪談③

・お経 授業が終わると、隣のクラスの連中がどやどやと入ってきて席を囲まれる。 「さっきの授業中お前のお経を唱える声がうるさかった」と口々に言われる。 お経どころか、一言も発してはいない。 ・スリッパ 真夜中リビングから「キャンキャンキャンキャン…

馬乗り

布団で子供と二人で寝ていると、深夜腰に「ドンッドンッドンッ!!」と3回衝撃を感じて目が覚めた。 誰が馬乗りになっている。 どうやら馬乗りの状態で上で飛び跳ねられたらしい。 寝ぼけていたので「子供が起こそうとして馬乗りになっているのか?」と思っ…

失せ物

引っ越しの前に、自転車の鍵を無くした。 荷物をひっくり返して探してもどうしても見つからない。 そもそもしばらく乗っていない自転車だったので、だいぶ前からなかったのかもしれない。 仕方がないので、鍵を閉じたままトラックに担いでもらい新居まで運ん…

短怪談②

・顔 友達二人で風呂に入っていた。 ふざけて飛ばした飛沫が壁に染み込むと、はっきりと女の顔が浮かび上がった。 顔は上から水をかけても消えず、しばらくそこにあり続けた。 ・すれ違い スイミングスクールで泳いでいると、向こうから誰が泳いでくる。 25…

霊感がある母親②

「同じ夢を毎日見るのよ」 と母が言う。 どんな夢?と聞くと、 布団の上で左目に眼帯をつけた老人が「殺してやる、殺してやる」と恨み言を言い続ける、という気味の悪い夢だった。 それだけの夢なのだがさらに気味の悪いことに、その老人に見覚えがある。 交…

直角

仕事が終わるのが遅く、疲れ果てて部屋で寝ていた。 すると突如脇腹にズシンと何かが乗ってきた。 目を開けると黒い影のように見える大きな男が、寝ている自分と直角に重なるように横たわっていた。 とにかく重い。 しばらくうんうんと唸っていたが、突如男…

短怪談①

破裂 ・リビングで一人夜更かしをしていると、いきなりコップのお茶が「ボコン」と爆ぜた。 コップの中に何かが落ちてきた形跡もない。 慌ててコップをキッチンに置き、ベッドに潜り込んだ。 手形 ・車のリアウィンドーに、べったりと手形がついているのに気…

白日夢

中学時代の話。 確かテスト期間中だとかで、いつもよりかなり早い時間に家に帰った。 エレベーターで7階にのぼり、廊下に出る。 各部屋の窓のところにスペースがあり、各々住人たちが植物やら置物やら好きなものを置いている。 ちょうどお昼の時間で、廊下に…

霊感がある母親

小学生の頃。 友人に、霊感があるという人がいた。 いわく、「家にも普通に居る」らしい。 その友達から家に遊びに誘われた。 自分は霊感などなかったし、そう言った類いも信じていなかったため特に抵抗なく遊びに行くことにした。 友人の家は玄関を開けると…

足音

風呂から上がり、脱衣所で服を着ているとリビングから足音がする。 ドンッ……スーー ドンッ…スーー ドンッ…スーー ドンッ…スーー と重々しいすり足で歩く音だ。 恐る恐る脱衣所のドアを開けると、小太りのおじさんが横切っていくところだった。 こちらを見る…

樹海にて

大学時代のバイト先の店長から聞いた話。 若い頃、友人数名で遊び半分で青木ヶ原の樹海に向かった。 鬱蒼としげる森の中を車で走っていく。 すると前方にやたらゆっくりと走るボロボロの車があることに気づいた。 追い越しできるほどの道幅がなかったため、…

高速にて

大学時代、韓国留学生から聞いた話。 母親と2人で高速を走っていると、中央分離帯のところに女が佇んでいる。 母親はそれに気がつくと、「こんな所に立っているなんて何か事情があるのかも知れない、乗せてあげようか?」 と言う。 真昼間だったので幽霊だと…