オチのない怪談ブログ

自分が体験した、あるいは誰かから聞いたオチのない怪談を蒐集するブログ

黒い女②

続き。 特に何事も起こることがなく、ビジネスホテルでの朝を迎える。 子供もいつもより早く起きたくらいで、変わった様子はない。 朝ごはんを食べて支度をしてホテルを後にする。 その帰り道、車の中で子供が 「黒い女、夜も来たよ」 と言った。 どう言うこ…

黒い女①

子供と二人で、ビジネスホテルに泊まりに来た。 風呂に入り、ご飯を食べに行こうと外に出ると鍵の調子がおかしい。 オートロックがかからないのだ。 フロントに電話してスタッフに来てもらった。 ドアの方に出て行っていろいろとスタッフが試行錯誤している…

入れ替わり

子供を幼稚園に連れて行き、車から降りる。 車の窓に映った自分を見て「しまった」と思った。 赤い派手めなマフラーを巻いてきてしまった。 幼稚園の送迎なら、茶色い地味な方にしておけばよかった。 とりあえず出席表を出して、荷物を取りに再び車に向かう…

だらり

信号待ちで停車していると、前を自転車に乗った親子が通り過ぎる。 後ろの席に幼児を乗せて、抱っこ紐で乳児を抱っこしているのか、だらりと小さな足が母親の脇からのぞいている。 信号が青に変わったので親連れに気をつけながらゆっくりと左折する。 仕方が…

真夜中の物音

私は猫を3匹飼っている。 「ガタンッッッ!!!」 …ああ何か落としたな。 なので真夜中に物音が聞こえても大抵、猫が立てた物音で片付けられる。 「タッタッタッタッタッ……」 …追いかけっこでもしてるのか? だけどたまに、これは本当に猫が立ててる音なの…

そっちじゃない

学生時代、学校行事で軽い登山に来ていた。 景色のいいところで「写真を撮ろう」と言うことになった。 何枚か写真を撮って後日現像する。 すると、その一枚の写真に異変が起きていた。 ある男子生徒の腕がきれいに消えていたのである。 当の本人は気持ちのい…

テケテケ

子供と二人、夕方の商店街を歩いていると突然子供が「わぁ!」とのけぞった。 どうしたの? と聞くと「生首がいた」とのこと。 詳しく教えて、と詳細を尋ねると 「長い髪の女の生首に手が生えていて、真顔でこっちに近づいてきて消えた」 とのこと。 テケテ…

スイッチ

カチ カチ カチ カチ という音で深夜に目を覚ます。 音は一定のリズムでずっと続いている。 なんの音だろうか。 寝ぼけた頭でぼんやり考える。 カチ カチ カチ カチ ああこれは、電気のスイッチを押す音だ。 廊下に続く自室のドアを見ると、かすかに空いてい…

車内にて

夜、一人で運転をしていると 「コンコンコンコンコン!!!!」 とノックが聞こえ飛び上がるほど驚いた。 不審者が車に乗り込んでいたのか? 急いで路肩に車を停めて車内を確認する。 幸いにも誰も乗っていない。 幽霊の方だったか、よかった。 運転席に戻り…

シンクロする足音

真夜中に目が覚めて、寝付けずにいると家の廊下からボソボソと喋る女の声がする。 ベッドの中で身を固くしていると、マンションの外廊下からコツ、コツ、コツとゆっくりと歩くパンプスの足音が近づいてきた。 真夜中だからか妙に響く。 すると ヒタ、ヒタ、…

影が走る

年の暮れ。 忘年会でしこたま飲んだ兄から「迎えにきてくれないか」と電話があった。 すでに時刻は2時を回っていたが、他に頼む人もいないのだろう。 しぶしぶ車を出すことにした。 兄と兄の友人二人を乗せ、夜の道を走る。 すると、横からヘッドライトに向…

短怪談⑥

・笑い声 通学中に、突如針葉樹の植え込みの中から 「ぐわっはっはっ!!」 と笑い声がして振り返る。 植え込みの中に人が入るスペースは、ない。 ・ノック イタズラでトイレの清掃用具入れのドアをコンコン、とノックしたら ノックが返ってくる。 恐る恐る…

電光掲示板

車を運転していると、視界の端にマツモトキヨシの派手な電光掲示板が映る。 「マ」の字が大きくなったり、回転したりとせわしない。 ちょうどマツモトキヨシの前で赤信号になり、電光掲示板を見やる。 そこには 店名を書いた、ただの看板があるだけだった。

自殺の現場

小学校の頃、担任に聞かされた話。 何故か人の死に目によく遭うという、K先生は観光旅行の折にとんでもないものを目にする。 飛び降り自殺を間近に見てしまったのだ。 崖の上から落ちてくるそれは、人形のように絶壁を転がり落ちてきた。 首が信じられないよ…

先客②

温泉旅館に泊まった時のこと。 大浴場に向かい、更衣室に入るとガランとしている。 ロッカーの鍵が閉まっているのは一つだけ。 先客は一人だけのようだ。 浴室に入ると曇りガラスの向こうに露天風呂につかっている背中が見える。 他に誰もいないのに露天風呂…

先客①

「早くお風呂に入りなさい」 一階のリビングから母の声が聞こえてきた。 三人兄弟の末っ子だった彼は、二人の兄に遅れて階段を降りる。 子供の頃、三人で一緒にお風呂に入るのが日課だったのだ。 脱衣所のドアを開けると、曇りガラスの向こうに人影が見える…

魑魅魍魎

子供の頃、祖父の家に泊まりにいった時のこと。 その夜は一人で祖父のベッドを借りて寝ることになった。 深夜ふと目が覚めて、「今何時くらいかな」と枕元の時計を見ると。 時計から蛇やカエル、ムカデ、蜘蛛他様々な動物や蟲が、ブワッと大量に飛び出して来…

銀色の球体

・通勤中の車内にて とてもよく晴れた朝、車でいつもの道を職場に向かっていると空に銀色の球体が静止している。 どうみても飛行機ではない。 一点から微動だにせずに浮かんでいる。 信号待ちの時にそうだ写真を、とスマホを取り出そうとして再び見ると、跡…

通り過ぎる

夜寝る前に二階の吹き抜けから電気の消えた一階を見下ろしながら、子供のトイレを待っている。 子供がトイレから出てきて、ふざけて 一階に向かって「はーなこさーん遊びましょー!」と言った。 その瞬間壁の方から黒い影がスッと出てきて、風呂場の方へ抜け…

「昨日ね、幽霊を見たの」

とあるカフェにて。 「昨日ね、幽霊を見たの。 頭は毛が生えてなくて、長いコートを着ていてね。 半透明で向こうの景色が見えていたんだよ。 気持ち悪かったのは、眼だね。 握りこぶしくらいの大きな眼が顔の半分くらい占めててさぁ。 それが近づいてくるか…

短怪談⑤

・ベタな幽霊 雨の日の深夜車を走らせていた。 急な上り坂になるところで車が減速すると、 歩道を白いワンピースを着てランドセルを背負っている少女が傘もささずに歩いているのが見える。 こんな時間に?と振り返ると、誰もいない。 ずいぶんベタな幽霊を見…

古民家奇譚

今はもう取り壊されている築100年以上あった、古民家で起きた小噺集 ・夜寝ていると、父親の声で玄関の方から名前を呼ぶ声がする。 鍵を忘れたのか、と思いドアの前まで行くも人の気配はない。 父親に「今帰ってきてた?」と電話すると、「まだ仕事中だ」と…

首が落ちる。

娘が病に伏して、入院した。 夫は数年前に他界していたため、マンションに一人住まいだった。 ある朝、棚の上に飾ってある博多人形を見ると、 首が落ちていた。 随分前に親戚から娘宛にもらったものであり、それから何年も飾っていた人形だった。 無造作に首…

久々に田舎の実家に帰った。 夜中、コンビニにでも行こうと外に出ると頼りない街灯がポツポツあるだけでほとんど暗闇に近い。 田舎の夜はこんなに暗かったものかと感心しながら、道を急ぐ。 帰ってくると、隣の一軒家の窓から老婆が外を見ていた。 部屋は真…

ずっと覚えていてね。

実家の猫が、亡くなった。 20年近く生きたので大往生であろう。 しばし、悲しみに暮れる日々を過ごした母がふとスマホを見ると、撮った覚えのないありし日の愛猫の写真が入っている。 いや、正確には確かに撮った写真なのかもしれないが、が15年以上前の「ま…

短怪談④

・おたまじゃくし 朝起きて、顔を洗おうと両手に水を溜める。 顔を近づけると、その中におたまじゃくしが一匹ビュルビュルと身を捩って泳いでいる。 慌てて水を捨てたが、当然何もいない。 ・呼吸音 夜寝ようとすると、 「スーーー。ハーーーー。スーーー。…

幽体離脱あるいは何かの擬態

今起きたこと。 明け方。 別室で寝ている妻の血相を変えたような声で、名前を呼ばれて起こされた。 何かあったのか、と飛び起きるもそれから何も言われない。 恐る恐るドアを開けてみると、誰もいない。 その時、ちょうど妻の部屋から目覚ましのアラームが流…

給食室のドアを開けて、廊下に出ると大きな猫が座っている。 室内に猫がいることなどあり得ないので、うわっと驚いて後ろに後ずさる。 一緒に出てきた同僚に「どうしたの?」と聞かれたので、 猫が……と言って指をさすと、もう猫はどこにもいなかった。 その…

ニンギョウ

夕暮れの通学路を歩いている。 日は暮れかけており、住居から淡い光が漏れていた。 その住居の一つ、窓辺に日本人形が「道路の方を向いて」飾ってある。 これでは飾っている家からは背中しか見えない。 そんな飾り方をするだろうか。 さらに異様なのはその人…

嗤う声

台風が九州を通過した関係で、雨は降らなかったが風が強かった日。 夜中ウッドデッキで子供と風を浴びながら歯を磨いていると、 庭のフェンスの少し向こうの暗闇から 「ウフ…ウフフフ…」 と神経に触るような甲高い声で嗤う女の声が聞こえて、慌てて家の中に入った。…