オチのない怪談ブログ

自分が体験した、あるいは誰かから聞いたオチのない怪談を蒐集するブログ

嗤う声

台風が九州を通過した関係で、雨は降らなかったが風が強かった日。 夜中ウッドデッキで子供と風を浴びながら歯を磨いていると、 庭のフェンスの少し向こうの暗闇から 「ウフ…ウフフフ…」 と神経に触るような甲高い声で嗤う女の声が聞こえて、慌てて家の中に入った。…

短怪談③

・お経 授業が終わると、隣のクラスの連中がどやどやと入ってきて席を囲まれる。 「さっきの授業中お前のお経を唱える声がうるさかった」と口々に言われる。 お経どころか、一言も発してはいない。 ・スリッパ 真夜中リビングから「キャンキャンキャンキャン…

馬乗り

布団で子供と二人で寝ていると、深夜腰に「ドンッドンッドンッ!!」と3回衝撃を感じて目が覚めた。 誰が馬乗りになっている。 どうやら馬乗りの状態で上で飛び跳ねられたらしい。 寝ぼけていたので「子供が起こそうとして馬乗りになっているのか?」と思っ…

失せ物

引っ越しの前に、自転車の鍵を無くした。 荷物をひっくり返して探してもどうしても見つからない。 そもそもしばらく乗っていない自転車だったので、だいぶ前からなかったのかもしれない。 仕方がないので、鍵を閉じたままトラックに担いでもらい新居まで運ん…

短怪談②

・顔 友達二人で風呂に入っていた。 ふざけて飛ばした飛沫が壁に染み込むと、はっきりと女の顔が浮かび上がった。 顔は上から水をかけても消えず、しばらくそこにあり続けた。 ・すれ違い スイミングスクールで泳いでいると、向こうから誰が泳いでくる。 25…

霊感がある母親②

「同じ夢を毎日見るのよ」 と母が言う。 どんな夢?と聞くと、 布団の上で左目に眼帯をつけた老人が「殺してやる、殺してやる」と恨み言を言い続ける、という気味の悪い夢だった。 それだけの夢なのだがさらに気味の悪いことに、その老人に見覚えがある。 交…

直角

仕事が終わるのが遅く、疲れ果てて部屋で寝ていた。 すると突如脇腹にズシンと何かが乗ってきた。 目を開けると黒い影のように見える大きな男が、寝ている自分と直角に重なるように横たわっていた。 とにかく重い。 しばらくうんうんと唸っていたが、突如男…

短怪談①

破裂 ・リビングで一人夜更かしをしていると、いきなりコップのお茶が「ボコン」と爆ぜた。 コップの中に何かが落ちてきた形跡もない。 慌ててコップをキッチンに置き、ベッドに潜り込んだ。 手形 ・車のリアウィンドーに、べったりと手形がついているのに気…

白日夢

中学時代の話。 確かテスト期間中だとかで、いつもよりかなり早い時間に家に帰った。 エレベーターで7階にのぼり、廊下に出る。 各部屋の窓のところにスペースがあり、各々住人たちが植物やら置物やら好きなものを置いている。 ちょうどお昼の時間で、廊下に…

霊感がある母親

小学生の頃。 友人に、霊感があるという人がいた。 いわく、「家にも普通に居る」らしい。 その友達から家に遊びに誘われた。 自分は霊感などなかったし、そう言った類いも信じていなかったため特に抵抗なく遊びに行くことにした。 友人の家は玄関を開けると…

足音

風呂から上がり、脱衣所で服を着ているとリビングから足音がする。 ドンッ……スーー ドンッ…スーー ドンッ…スーー ドンッ…スーー と重々しいすり足で歩く音だ。 恐る恐る脱衣所のドアを開けると、小太りのおじさんが横切っていくところだった。 こちらを見る…

樹海にて

大学時代のバイト先の店長から聞いた話。 若い頃、友人数名で遊び半分で青木ヶ原の樹海に向かった。 鬱蒼としげる森の中を車で走っていく。 すると前方にやたらゆっくりと走るボロボロの車があることに気づいた。 追い越しできるほどの道幅がなかったため、…

高速にて

大学時代、韓国留学生から聞いた話。 母親と2人で高速を走っていると、中央分離帯のところに女が佇んでいる。 母親はそれに気がつくと、「こんな所に立っているなんて何か事情があるのかも知れない、乗せてあげようか?」 と言う。 真昼間だったので幽霊だと…

落下音

二階の自室で寝ていると、まるで鉄球でも落ちたかのような、凄まじい落下音で飛び起きた。 慌てて外に出て一階のリビングやキッチンを確認したが、何も落ちていない。 ならば外から車でも突っ込んできたか、もしくは頭のおかしい人が巨大なハンマーか何かで…

カーテン

子供の頃祖父から聞いた話。 祖父の友人は出先で起きた火事で奥さんを亡くしてしまった。 痛ましい事故からしばらく月日が経った、ある夜のこと。 一階にある寝室で寝ていると、カーテンを「シャーッ……シャーッ…」と繰り返し開け閉めする音がする。 何度も何…

ついてくる

小学生の頃の体験。 図工室で、夕方遅くまで残って学芸会で使う小道具の作成をしていた。 とりあえず作業が一区切りしたため帰ろうとすると、教室にランドセルを置いてきてしまっていたことに気づいた。 友達と別れ、一人で教室に取りに向かう。 校舎の中の…

霊障

先日、「島田秀平とオカルトさん!」を聞きながら車を運転していた。 ちょうどトンネルに差し掛かったところでカーナビが動かなくなる。 電波の問題かなと思ったが、トンネルを抜けてもそのままである。 すべての道が消え、トンネルがあったであろう場所から…

ヒビ割れた声

昨夜、久々に友人と飲みに行き11時過ぎに自宅に帰った。 速攻着替えてベッドに潜り込み寝ていると、廊下から三人くらいの女の声を合わせたようなヒビ割れた声質で 「○○」 と、たったふた文字だけの声がした。 だが、その一文字も思い出せない。

ドアノブ

洗面所で鏡を見ながら歯磨きをしていた。 鏡越しの背後に、リビングと玄関を隔てるドアが見える。 そのドアのドアノブが、カクッと傾いたと思うと、グググググとゆっくりと下がり始めた。 歯磨きをしながらその様子を眺めてると、ついにドアがぎぃと開く。 …

社員寮

当時住んでいた社員寮には、出るという噂があった。 社員寮の廊下には中庭があって、ベンチが置いてある。 そのベンチに真夜中老婆が座っている、という噂だった。 噂の真相を確かめてやろうと、ある夜中庭を監視することにした。 さすがに廊下に出るのは怖…

化ける者

妻の体験。 深夜寝ていると、猛烈に胸のあたりが苦しくなり目を覚ました。 誰かがものすごい力で喉のあたりを押さえており息ができない。 体も金縛りにあったように動かず目も開けられない。 何とか目を開け開けるとそこには 私が居た。 ニヤニヤと見たこと…

霊を轢く

車を運転していると、道端に明らかにやばい雰囲気を醸し出している、小さな鳥居があった。 その鳥居のそばに男がぼうっと立っている。 生きた人間ではなさそうだ。 目を合わせないように男のそばを通り過ぎようとした時、 ガッタンと、何もないの道路で何か…

バタン

スーパーで買い物をしてると、仕事先のバイトの女の子が立っていた。 「あ、Aさん!」 話しかけたところで、スタッフ用の通行口のドアが開いた。 驚くことに、ドアはAさんをすり抜けた。 バタン!!! とドアが閉まると、Aさん消えていた。 Aさんは存命であ…

もいもー

中学生のころ引っ越しをして、初めて自分の部屋というものができた。 新しくできたばかりの新築マンションだったためまだ住んでいる人が少なく、妙に静かで薄暗い雰囲気があった。 隣の部屋がまだ空室にもかかわらず壁を叩くような音が聞こえたり、深夜に廊…

山の上のUFO

何人かのグループで登山をしていた時のこと。 日が落ち始めた山道で帰路についていると、山の上に円盤型の冗談みたいに典型的なUFOが現れた。 円盤の下からは光がさんさんと注がれていて、驚きもあったがあまりの美しさにその場にいた全員が見惚れてしまった…

ぐにゃり

猫のトイレを掃除しようとして、いつも使っている鉄製のシャベルを取り出した。 ぐにゃりと、90度曲がっている。 家族に聞いても誰も理由はわからない。 戻そうとしても、人間の力ではとても戻せない。 仕方がないので90度曲がったシャベルで、掃除を済ませ…

戒壇巡り

香川県の善通寺に行った時の話。 善通寺の本堂の床下を歩く、「戒壇巡り」というものをやった。 一寸先も見えない、全くの暗闇の中を左手を壁に添えて宝号を唱えながらゆっくりと歩く。 頼りになるのはひやりとした左手の感覚と、前後の人が唱える宝号の声の…

「帰ってきてるなら言えよ」

職場の近くに借りた家でくつろいでいると、 実家の兄から電話がかかってきた。 「あのなぁ、帰ってきてるなら一言言えよ。」 「え?なにが?」 「お前の部屋の、電気の紐ガチャガチャやる音うるさいんだよ」 しばらく実家には帰ってなかった。

すりガラス②

続き。 すりガラスの向こうの玄関に黒い影が歩かなくなったら、今度は白い影が現れるようになった。 大きさからして子供だろうと思った。黒い影に感じた禍々しさは、家族の誰もが感じなかった。 Tさんには幼くして亡くなった弟がいた。 遺骨は家においてあり…

すりガラス①

Tさんの家はリビングからすりガラスを通して玄関が見える。 いつからか家族でリビングで談笑していると、すりガラスの向こうに黒い影が見えるようになった。 玄関から二階にあがる階段の間を、うろうろと歩いている。 部屋に入ってくるわけではなかったが、…