オチのない怪談ブログ

自分が体験した、あるいは誰かから聞いたオチのない怪談を蒐集するブログ

短怪談③

・お経

授業が終わると、隣のクラスの連中がどやどやと入ってきて席を囲まれる。

「さっきの授業中お前のお経を唱える声がうるさかった」と口々に言われる。

 

お経どころか、一言も発してはいない。

 

 

 

・スリッパ

真夜中リビングから「キャンキャンキャンキャンキャンキャンキャンキャンキャン!!!」

と猛烈な音が聞こえる。

どう聞いても、「スリッパだけが凄い勢いで勝手に走り回っている音」だ。

 

・季節はずれ

桜が散り始めた頃、霧雨の中を歩いていた。

遠くから、カナカナカナ……と、ひぐらしの鳴く声が聴こえる。

驚いて辺りを見渡してみても、雨に頭を下げる桜があるだけである。