学生時代14階建てのマンションの、7階に住んでいた。
駅から近く、ベランダからは駅前の商店街や、車通りがよく見える。
その日、家で一人で留守番をしていると、下の車道で事故があった。
誰もいないリビングから、ベランダに出て下の様子を眺める。
ふと空を見ると、なにかがうねりながら飛んでいる。
半透明で細長く、左右に無数のヒダがついた「古代生物」のような形をしたものであった。
それは瞬く間に遠くの空にへと溶け込んで、何も見えなくなった。
空中を高速で飛行するスカイフィッシュというUMAが過去に話題になったことがある。
その正体はハエなどの昆虫が作る残像で、肉眼で見えないのはそのためだというが。
スカイフィッシュのようなものを肉眼で見た、たった一度きりの体験。