中学生低学年のころ、まだ兄と同部屋だった。
6畳程度のマンションの一室に机を背合わせで置き、壁際には二段ベッドがあった。
僕はその二階を使用していた。
生活空間は、ベッドの上と机の上だけの狭い空間であった。
そこで起きた短い怪異をいくつか。
夜中に目が覚める。
まだ四時ぐらいで起きるには早すぎるので、ベッドの中で布団にくるまって目を開けていた。
すると、パンッとベッドの柵を手で叩かれる。
ぎょっとして上体を起こす。
兄がいたずらをして叩いたわけではない。
なぜなら、柵の間から見える指が、下を向いていたからだ。
つまり、天井から柵を叩かれたことになる。
恐る恐る梯子を下り、兄の様子をみたが、兄は当然何事もなかったようにすやすやと眠っていた。