オチのない怪談ブログ

自分が体験した、あるいは誰かから聞いたオチのない怪談を蒐集するブログ

スイッチ

カチ  カチ  カチ  カチ

 

という音で深夜に目を覚ます。

 

音は一定のリズムでずっと続いている。

 

なんの音だろうか。

 

寝ぼけた頭でぼんやり考える。

 

 

カチ  カチ  カチ  カチ

 

ああこれは、電気のスイッチを押す音だ。

 

廊下に続く自室のドアを見ると、かすかに空いている床面の隙間から

 

カチ  カチ  カチ  カチ

 

音に合わせて電気が明滅していた。

誰かが、延々と電気のスイッチをつけたり

消したりと繰り返している。

 

 

 

こんな深夜に、こんな馬鹿げたことをする人間はいない。

 

と言うことは。

 

 

私は耳栓を強く押し込み、布団を被った。

車内にて

夜、一人で運転をしていると

 

 

 

「コンコンコンコンコン!!!!」

 

 

とノックが聞こえ飛び上がるほど驚いた。

 

不審者が車に乗り込んでいたのか?

急いで路肩に車を停めて車内を確認する。

 

幸いにも誰も乗っていない。

 

幽霊の方だったか、よかった。

 

運転席に戻り家路を急ぐ。

シンクロする足音

真夜中に目が覚めて、寝付けずにいると家の廊下からボソボソと喋る女の声がする。

ベッドの中で身を固くしていると、マンションの外廊下からコツ、コツ、コツとゆっくりと歩くパンプスの足音が近づいてきた。

真夜中だからか妙に響く。

 

 

すると

ヒタ、ヒタ、ヒタ。

 

廊下の声の主も同じ歩調で歩き始めた。

 

 

影が走る

年の暮れ。

忘年会でしこたま飲んだ兄から「迎えにきてくれないか」と電話があった。

すでに時刻は2時を回っていたが、他に頼む人もいないのだろう。

しぶしぶ車を出すことにした。

 

兄と兄の友人二人を乗せ、夜の道を走る。

 

すると、横からヘッドライトに向かって垂直に交わるように、黒い影が走ってくる。

 

ぶつかる、と思った瞬間ライトに溶けるように影は消えた。

 

今のはなんだったのだろう、と思う間もなく今度は反対から、

同じように影が走ってくる。

 

全く同じことが、3、4回続いた。

 

 

だが兄の友人を家に送り届けてからは、ぴたりと影は現れなくなった。

 

 

短怪談⑥

・笑い声

通学中に、突如針葉樹の植え込みの中から

「ぐわっはっはっ!!」

 

と笑い声がして振り返る。

植え込みの中に人が入るスペースは、ない。

 

・ノック

イタズラでトイレの清掃用具入れのドアをコンコン、とノックしたら

ノックが返ってくる。

恐る恐るドアを開けたが、当然誰の姿もなかった。

 

・鳩の影

マンションの敷地の隅の方を見ると、影の中で無数の鳩のようなものがむくむくと蠢いていた。

近づくと、消えた。

電光掲示板

車を運転していると、視界の端にマツモトキヨシの派手な電光掲示板が映る。

「マ」の字が大きくなったり、回転したりとせわしない。

 

ちょうどマツモトキヨシの前で赤信号になり、電光掲示板を見やる。

 

 

 

そこには

店名を書いた、ただの看板があるだけだった。

自殺の現場

小学校の頃、担任に聞かされた話。

 

何故か人の死に目によく遭うという、K先生は観光旅行の折にとんでもないものを目にする。

 

飛び降り自殺を間近に見てしまったのだ。

崖の上から落ちてくるそれは、人形のように絶壁を転がり落ちてきた。

首が信じられないような角度まで曲がり、両腕は肘から抜け骨が飛び出してしまっていたという。

グラグラになった首が何度も何度も地面に叩きつけられ「取れてしまうのではないか」とまで思ったそうだ。

 

ようやく落下が終わった後も、K先生は目を離せずにいた。

 

すると、おおよそ原型を留めていないその人は

 

 

 

    「寂しいから、見てて」

 

 

 

と言った。

 

 

 

 

その人は医者がみるまでもなく、即死だったという。